bocch 勝ち方ガイド
AI「最強」が重く見ているポイントと、AI同士の3万局から集計した「勝ちやすい形」を、盤の図でまとめました。石の数字は、その石が動ける距離です。
YouTube「bocch定跡研究」戦法や定跡を、動画でも解説しています
まず、仕組みを手で試す
動ける距離は「まわり8マスにいる石の数(色は問わない)」です。石を置くと、隣の石の数字も変わります。ここがこのゲームのいちばん大事なところです。
「石を置く」:マスを押すたびに 黒 → 白 → 空き と変わります。
「行き先を見る」:石を押すと、その石が行けるマスが緑で出ます。上の段が黒のゴール、下の段が白のゴールです。
強い形
AI同士の対局で「その形を相手より多く持っていた側」が最終的に勝った割合です。真ん中の線が50%で、右に伸びるほど勝ちやすい形です。
黒の1手目(定跡)
強くなった「最強」(v1.7)に、14通りの1手目をすべて15秒ずつ(15〜18手先まで)読ませた評価です(左右対称の手はまとめて平均)。端の石を使う寄り添い・隅守りの2つだけが互角で、中の石を2歩出す手はどれも少しずつ損でした。白の2手目は、黒が何を指しても「肩寄せ」(端の石を斜めに寄せる手)が最善です。この読みはゲームの定跡として「最強」に入っています。
3手目までの定跡
最初の2手の組み合わせ196通りすべてについて、黒の3手目を最新の「最強」で15〜18手先まで読みました。さらに、3手目に指せる手を全部(3,006通り)1手ずつ4秒(11〜14手先)読ませて、強い手・弱い手に分けました。評価は黒から見た点数で、0が互角、+が黒よし(100点でおよそ勝率78%)です。
- 黒の3手目は「もう片方の端も寄せる」が基本:196通りのうち159通り(81%)で、最善手は端の石を1段内側へ寄せる手でした。1手目で片方の端を寄せたら、3手目で反対の端も寄せて、両端の石を働かせます。
- 白は2手目に肩寄せ以外を指すと大きく損:黒の寄り添いに対して、白が肩寄せ以外を指すと、黒は+77〜+148点まで有利になります。白の2手目は肩寄せ一択です。
- 3手目は「陣地の石を1段だけ」が安全:3,006通りを比べると、陣地の石を1段だけ動かす手は最善との差が平均43点で、悪手はほぼ0。陣地の石を一気に2段出すと平均77点、3段だと平均90点損し、悪手の割合も8%・18%に跳ね上がります。序盤に遠くへ跳ぶ手は、相手に足場と時間を与えるだけになりやすい手です。
- 最善級は少ない:3,006通りのうち、最善と好手(差20点以内)は16%だけ。半分近くは疑問手(差60〜120点)でした。3手目でもう、差がつき始めます。
- 本線は互角:黒の寄り添い → 白の肩寄せ(黒と反対の端)→ 黒が反対の端も寄せる、で評価は0点。ここから本当の勝負です。
盤で見る(派生つき)
候補の手を押すと、盤がその手まで進みます。各手の右の数字は、その手を指したあとの黒の勝率の目安(最新AIの評価)です。左の印は最善との差で、最善・好手・ふつう・疑問手・悪手。3手目は指せる手をすべて並べています。
盤の上の段が白の陣地(黒のゴール)、下の段が黒の陣地です。候補にふれると、その手の動きが盤に出ます。4手目からは定跡がなく、「最強」もその場で読んで指します。
戦法(序盤の作戦)
最新の「最強」同士に26,000局打たせ、両者の8手目の形を似たものどうしでまとめると、5つの型に分かれました。図は、その型の8手目に多かった自分の石の並びを、6個の石で描いた典型形です(相手の石は省略。自分の陣地が下、攻めた側を左にそろえています)。
相性
行の戦法が、列の戦法に勝った割合です。
強くなったAIの指し方
AIを強くするたびに、指し方の流行が変わってきました。最新の26,000局での変化です。
- 総掛かりが消えて、二段構えが出てきた:陣地の石をほぼ全部出して横に広げる「総掛かり」は、強いAIではほとんど指されなくなりました。代わりに、陣地に2〜3個残して中段に縦に並べる「二段構え」が、全体の約2割を占めるようになりました。
- 中央櫓と端攻めの差が広がった:中央櫓は端攻めに74%勝ちます(前は67%)。強いAIほど、真ん中の固まりの強さを引き出し、端の筋の弱さをとがめます。
- 半櫓が主流になった:強いAIは陣地に2〜3個を残したまま真ん中に櫓を組みます。陣地の石をほぼ全部出す総櫓は減り、半櫓のほうが勝率で4ポイント上回りました。
- 端攻めと籠城が減った:学習した価値では、自陣の端の石は大きくマイナス、自陣の真ん中の石はプラスでした。強いAIは端の石を早めに内側へ寄せ、真ん中の石を陣地に残します。
- 陣地に残す石は守りになる:残した石は相手の着地点をふさぎ(手筋「陣地の壁」)、同時に櫓を相手から1マス離して組む余裕を作ります。
型ごとに約6,000〜12,000人分(1局で両者を数えるため)。8手目の形は相手の指し方にも左右されるので、「この型を選べば必ずこの勝率」という意味ではありません。
最新AI同士の26,000局で見る対局
強くした最新の「最強」(v1.7)同士に26,000局打たせて数えた結果です(最初の2〜6手は、形をばらつかせるため無作為)。最新AIは、強くする前のAIに約6割勝ちます。
- 強くなるほど対局が長くなる:お互いがリーチを早めに止めるので、簡単には着けません。半分の対局は31〜48手で終わります。
- 1個目はとても大きい:先に1個着いた側が約3分の2(66.5%)勝ちます。守りが固い相手から1個奪うのは、それだけ大きいということです。
- 引き分けも6.5%ある:読みが深いと、お互い危ない手を避けて同じ局面をくり返しやすくなります。
1局の長さ
両者合わせた手数ごとの対局数(60手以上はまとめています)。
先に1個着いた側の勝率(着いた時期別)
いつ着いても6割以上勝ちますが、終盤ほど価値が上がり、24手目以降に先着した側は8割近く(77.6%)勝ちます。守りの石が減った終盤の1個は、ほぼ決め手です。
急所のマス
12手目にそのマスに自分の石があった側の勝率(自分の陣地が下、左右はまとめて平均)。緑ほど勝ちやすいマス、赤ほど負けやすいマスです。
- 相手陣の真ん中に着くと強い:3a・4aにいる側は63%。端(1a・6a)でも55%あります。
- 中央の筋が急所:3d・4dは55%、3c・4cは53%。真ん中を通る石が勝ちにつながります。
- 端の筋は負け筋:1c・1d・6c・6dにいる側は40〜41%。端に寄った石は働きません。
- 陣地の角に残った石も弱い:1f・6fは40%。動かないまま終わりやすい石です。
- ゴールの1段手前(b段)は負け筋:2b〜5bにいる側は34〜42%で、盤でいちばん悪い段です(26,000局で新しく分かったこと)。b段の石はゴールまで1段なので、数字がちょうど1のときしか着けません。隣に石が増えると跳び越してしまい、相手にも止められやすい「着けそうで着けない」石になります。b段に上がるのは、次の手で確実に着けるときだけにします。
相手のリーチの止め方
黒の石(数字2)が、2マス上のゴールに届く形です。上・右上・左上の3方向に届くので、着地点は最大3か所あります。
上級:手筋の体系
強い人が見ているのは、自分の石の数字よりも、相手と自分の石の「ズレ」です。すべての手筋はこの考え方から組み立てられます。
ズレ0の石はゴールに届きます(リーチ)。上でも斜め上でも、1回で上がる段数は数字と同じだからです。数字が多すぎても盤の外に出るので届きません。
1手で動かすと、着いたマスの隣の石はズレが1減り、離れたマスの隣の石はズレが1増えます。
図は盤全体(上の段が黒のゴール、下の段が白のゴール)。石の数字・リーチ・届くマスは、すべてルールどおりに自動で計算しています。
やってはいけない手
最新AI同士の26,000局(約89万手)で、ある手を指した側が最後に勝った割合を数えました。全体の平均は約50%です。強いAIでさえ、これらの手を指すと勝率がはっきり落ちます。
- 相手のとどめを自分で作る(勝率0%):相手がもう1個着いているときに、自分の手で相手の石の数字を変えて、2個目に届くようにしてしまう手です(誘爆)。26,000局で2,047回あり、指した側は1局も勝てませんでした。相手が1個着いたら、動かす前に「着地点の隣と出発点の隣に、相手の石がないか」を必ず見ます。
- 相手のとどめを残したまま別の手を指す(勝率0%):相手が1個着いていて、次に2個目に届く石があるのに止めない手です。止める手がない局面も含まれますが、そうなる前に、相手の2つ目のリーチの芽をつむのが先です。
- 動かした石がぼっちになる手(勝率37%):隣に石がない「0」の石は動けません。動かした石がぼっちになる手を指した側は、平均より13ポイント低くなりました。残された側の石がぼっちになる手も41%です。ぼっちを2個以上いっぺんに作ると27%まで落ちます。
- ゴールの1段手前で止まる(勝率46%):b段(自分から見てゴールの1段手前)に上がる手は、平均より低めです。b段の石は数字がちょうど1のときしか着けず、隣に石が増えると跳び越してしまいます。次の手で確実に着けるとき以外は、b段に入らずc段で待つほうが得です。
- 序盤に陣地の石を遠くへ跳ばす:3手目の全候補の読みでは、陣地の石を一気に2〜3段出す手は、1段だけの手より平均34〜47点悪く、悪手になりやすい手でした(くわしくは「形・定跡」の3手目まで)。
考え方:受けに回ったら負けかけている
- 止める手を指した側の勝率は34%:相手のリーチを止めるのは必要な手ですが、止めさせられている時点で主導権は相手にあります。相手が1個着いたあとのとどめを止めた側は27%でした。
- だから「止めながら作る」:止めるだけの手は、相手に次の攻めを考える時間を渡します。止める手を選ぶときは、その着地点で自分のリーチも作れないかを先に探します(手筋「攻防一体」)。
- 自分もリーチがあるなら、相手のリーチを放置してよいこともある:相手のリーチを残しても、自分もリーチを持っていた側は60%勝っていました。1個着かれても、すぐ負けではありません。「相手が1個着く」と「自分が1個着く」を比べて、得なほうを選びます。
相手のリーチ、止めるか見逃すか
相手が次の手で着ける状態のとき、最強AIがどう判断しているかを、26,000局で数えました。
- 相手の2個目は必ず止める:相手がもう1個着いているときに、止められるのに見逃した手は、1回もありませんでした。2個目はその場で負けです。
- 相手の1個目は、見逃してよいことがある:止められるのにあえて見逃した側の勝率は69.8%。とくに自分がもう1個着いているときは95.9%、自分もリーチを持っているときは72.3%でした。自分が先に2個そろうなら、止める1手を攻めに回します。
- どちらでもないときは「止めながら作る」:自分は0個でリーチもないときに、止めて自分のリーチも作った側は51.7%。止めるだけだと39.6%、止めずにリーチだけ作ると46.9%、どちらもしないと34.1%でした。
止め方にも順番がある
- 1. 押し上げ(勝率49.7%):相手のリーチ石の隣に自分の石を置いて、数字を増やす。届く段が変わって、ゴールを跳び越させます。
- 2. 引き抜き(43.7%):相手のリーチ石の隣にある石を抜いて、数字を減らす。
- 3. 着地点をふさぐ(33.8%):いちばん素直に見えますが、いちばん悪い止め方です。相手の石の数字は変わらないので、別の着地点を探されます。
着いた石を外に出す手
- 相手陣に着いた自分の石を外に出すのは、最後の守り:指した側の勝率は4.6%(7,969回)。その62%は、相手のとどめを止めるために、自分の1個目を捨てた手でした。AIがこの手を指したら、もう苦しい形勢です。
- ゴール段の中で横に動くのは、ふつうの手:着いた数は減らさずに、隣の数字を変えて相手を止めたり、自分の次の石を通したりする手です(勝率50.4%)。
毎手、この順で確かめる
- 相手のズレ0(リーチ)はあるかあれば止めます。押し上げか引き抜きで、ズレを0からずらします。
- その手で誘爆しないか着地点の隣に相手のズレ+1、出発点の隣に相手のズレ−1がないかを見ます。
- 止めながら自分のリーチも作れないか着地点の隣に、自分のズレ+1の石を探します(攻防一体)。
- 離れた2か所にリーチを作れるか同じ場所に固まったダブルリーチは1手で崩されます。本物は離れた2か所です。
- 自分の石がぼっちにならないか隣が0〜1個の石が多い側は、勝率が45%前後まで落ちます。
集計の出どころ:形の勝率は、AI同士に2,000局打たせ、約4.8万局面で両者を比べた結果です。定跡の評価は最新の「最強」の15〜18手先までの読みで、最後まで解き切ったものではありません。5%程度の差は、読む時間で入れ替わることがあります。