双璧:9割勝つ戦法と、ただ1つの弱点
1手目に寄り添い、2手目にもう一方の端も寄せる。左右の端を両方とも内側に入れるのが「双璧」です。新しいAI同士に約3,700局指させたところ、双璧はほとんどの相手に9割以上勝ちました。ただし、勝てない受けが1つだけあります。
双璧の形
黒の1手目は寄り添い(1f→2e)。左端の石を斜め前に1つ寄せます。白が何か指したあと、黒の2手目で右端の石も同じように寄せます(6f→5e)。
端の石は、そのままだと隣が1つしかなく、ほとんど働きません。両方を早めに内側へ入れることで、6つの石がすべて仲間とつながります。
なぜ強いのか
寄り添いに対して、白の1手目は14通りあります。そのうち12通りに対して、黒が双璧を指したときの勝率は平均91パーセント。いちばん低い相手(3a→3c)でも84パーセント、いちばん高い相手(3a→5c)では96パーセントでした。
最強AIに深く読ませても、この12通りのうち11通りで、黒の2手目の最善手は双璧でした。bocchの序盤で、いちばん素直で、いちばん強い形の1つです。
弱点は「肩寄せ」
勝てないのは、白の1手目が肩寄せのときです。肩寄せは、白が端の石を斜め前に1つ寄せる手で、黒の寄り添いと同じ形です。
黒と同じ側(1a→2b)に肩寄せされて双璧を指すと、黒の勝率は43パーセント。反対側(6a→5b)なら37パーセントまで下がります。
白の答えは単純で、黒が双璧なら、白も残った端を寄せて同じ形にします。最強AIに15手先まで読ませると、この局面はほぼ互角です。それでも実際にAI同士で指させると、白のほうが勝ちやすい結果になりました。読み切れば互角でも、指し続けるのは黒のほうが難しい局面だということです。
動画「bocch定跡研究」第24回では、肩寄せに受けられた双璧を15パーセントと紹介しました。条件を分けて測り直すと37〜43パーセントでした。苦しいのは確かですが、15パーセントは言いすぎでした。
肩寄せされたら、双璧をやめる
同じ側の肩寄せには、真ん中を3段突く
黒と同じ側に肩寄せされたら、双璧のかわりに、真ん中の 3f を一気に3段突きます(3f→3c)。寄り添いのおかげで、3f の隣には石が3つあるので、まっすぐ3段進めます。
この手の勝率は63パーセント。双璧の43パーセントより20ポイント高くなりました。盾槍(2f→2d)は48パーセントでした。
反対側の肩寄せには、送り鳥か盾槍
反対側に肩寄せされたら、寄り添いの隣の石を前に出します。斜めに飛ばす送り鳥(2f→4d)が59パーセント、まっすぐ出す盾槍(2f→2d)も59パーセント。どちらも双璧の37パーセントを大きく上回ります。
| 白の1手目 | 黒の2手目 | 黒の勝率 |
|---|---|---|
| 肩寄せ以外(12通り) | 双璧 6f→5e | 91% |
| 同じ側の肩寄せ 1a→2b | 3段突き 3f→3c | 63% |
| 反対側の肩寄せ 6a→5b | 送り鳥 2f→4d・盾槍 2f→2d | 59% |
白から見ると
白から見ると、話は逆です。黒が寄り添いで来たら、白の1手目は肩寄せ一択です。肩寄せ以外の手だと、黒に双璧を指されて、白の勝率は平均で1割ほどしかありません。
肩寄せしておけば、黒が双璧を指してきても、こちらも端を寄せて受ければ、むしろ白が勝ちやすくなります。
まとめ
- 寄り添いのあと、相手が肩寄せ以外なら双璧。9割勝てる。
- 相手が肩寄せなら双璧はやめる。同じ側なら 3f→3c、反対側なら送り鳥か盾槍。
- 白は、寄り添いには必ず肩寄せ。双璧が来たら、こちらも端を寄せて受ける。
数字の出どころ:最強CPU同士の対局。決めた手順のあと2手は上位3手からランダムに選び、その後は1手120ミリ秒で指させました。勝率は引き分けを半分として計算しています。双璧と肩寄せ以外の12通りは計1,190局、肩寄せの局面は各手200〜500局です。